ベッドの物語

子供のころに僕の両親が使っていたベッドは、

マットレスのやわらかいダブルベッドでした。

このベッドを選んだのはベット派の父だったようで、

畳に布団派の母はベッドから掛け布団が落ちる!とか

マットレスがやわらかすぎて腰が痛くなる!とか

父が寝返りをうつとマットレスが揺れて気になる!

などなどの苦情を父に訴えていました。

夫婦の力関係によって寝床がベッドだったり

畳に布団だったりと何度も入れ替わりましたが、

同じ部屋で眠ることだけは変わることがありませんでした。

母の権力が強い時期には幼い僕は

両親のダブルベッドの上でトランポリンのように

ぴょんぴょん飛び跳ねて遊ぶことができたのです。

そして、このベッドでの儀式で僕が生まれたはずです。

大学生になった僕が初めてセックスをしたベッドは、

地元にある古いモーテルにあった

丸い回転ベッドでした。

枕元に回転のスイッチがあってラウンドごとに

右回転左回転と切り替えながら

朝までセックスをやり続けました。

この部屋は鏡の多い部屋で天井まで鏡、

鏡に写るのはガッつくようにセックスする男女、

自らの姿を見ながら腰を動かしました。

最近、回転ベッドや鏡張りの部屋に

巡り合えなくなったのは新風営法で、

禁止されたからだそうです。

そして、この彼女に僕はセックスしか求めていなかったのが原因で、

逃げられてしまいました。

僕が結婚を決意してから買ったベッドは、

シモンズ社のダブルベッドでした。

家具店を何件もはしごして、

展示されているベッドに寝転んで目を閉じたり

寝返りをうってみたりもしました。

嫁(この頃は婚約者)も一緒に家具店へ連れて行き、

恥ずかしがる嫁を無理矢理に展示してあるベットに寝させて

僕が嫁の上に乗って腰を動かして疑似セックスもしてみました。

『んー、じゃあ!今度はオレが下になるから上に乗って!』と嫁に言うと、

無視されました。

これが初めて嫁に無視された瞬間です。

しょうがねぇーな!と思いながら展示されているベッドに

僕一人、仰向けに寝て嫁が上に乗っているのを

イメージして腰を動かしてみました。

国内メーカー海外メーカー何社かのベッドで、

硬いマットレスからやわらかいマットレスでも腰を動かした結果、

いい感じにセックスが出来そうなベッドはアメリカのシモンズ社で、

マットレスがやわらかいベッドでした。

腰が動かしやすく寝返りを打っても

お互いに気にならないようなスプリングで

マットレスがやわらかいのでうつ伏せに寝ても気持ちよく寝れると感じました。

でも、価格は一番安いダブルベッドの約2倍、

「シモンズのベッドは価格は高いけど長持ちするので、ホテルで使われているベッドはシ

モンズ社のベッドが多いです。旦那さんのように元気な方でも長持ちしますよ」

と家具店の販売員のおじさんも勧てくれたので、

このベッドに決めました。

そして、注文したベッドが配達される前日に僕の父が死にました。

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